【映画】人間失格:太宰治原作

Category : 街角えいが日記

2010年2月20日公開、太宰治原作の映画「人間失格」。遅ればせながら観てきました。遅ればせながらといえば、公開からかなり時間のたつ「AVATAR」も先日観てきました。こちらも近々、感想を書きます。

■作品情報

作品名:人間失格

メディア:映画

公開日:2010年2月20日

配給:角川映画

出演:生田斗真伊勢谷友介寺島しのぶ石原さとみ小池栄子坂井真紀森田剛ほか

このブログ(街角よみもの日記)を 立ち上げてからまだ一度しか記事を投稿していませんが、その投稿も「人間失格」でした。こちらは小説ですが、そんな私が本を読み始めたのはじつは最近の話 で、色々と活動を始めたことで自分に足りないたくさんのものが目に見えてきたために、それを補う一つの方法として読書を始めたのがきっかけです。

そして読んだ、「人間失格」。

「私の人生を変えた、一冊です」

なんて、格好のいいものではありませんでした。作者太宰という滑稽で愉快な人間を知る、一つの接点に過ぎませんでした。ただ、その接点は、しっかりと私の心に爪あとを残したのです。

今回観てきた映画「人間失格」は、そんな接点を思い出させるに足る作品でした。


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パンフレットの表紙は、主人公の大庭葉蔵を演じた生田斗真さん。小説の中で表現された色男は、もっと色褪せながらも艶っぽい、陰のある細い男性と考えていたのですが、なかなかどうして、生田さんの演じる大庭葉蔵も十二分に“葉蔵”でした。

作品自体の内容については、広く一般に知られるそれと同じなので説明を省きますが、上記の葉蔵が葉蔵たりえたのは、対を成す登場人物、伊勢谷友介さん演じる堀木正雄の毒があったからではないでしょうか。

どちらが毒で、どちらが薬なのか、どちらが陰でどちらが陽なのか、どちらが負でどちらが正なのか、そんな野暮な定義を必要とする作品でないことはご承知のとおりですが、私は彼らのそんな滑稽な関係こそが、世のバランスなのではないかと感じています。そこかしこに存在する人間関係のすべてが、映画で描かれる葉蔵と堀木の間のそれと同じなのではないか、ということです。

その二人が行動を共にする場面が多くあるのですが、それはまさに“地獄”です。

以前の、小説を評した記事にも書きましたが、居場所を探し続ける葉蔵に訪れるのは、地獄です。この世のものとは思えない、神の仕打ちとも取れる、地獄。石原さとみさん演じる良子との生活を見舞った災いは、まさに地獄そのものでした。小説で内容を知っていたとはいえ、それでも目を背けたくなるものです。

生きるとは、なんと残酷なことなのでしょうか。

彼に訪れた出来事は、それはすべてが地獄でした。

葉蔵とは違う人生を歩む私ですが、私の眼下に広がるこの世界は、地獄なのではないでしょうか。いや、生きること自体が地獄なのではないでしょうか。私にはそう思えて仕方がありません。

明日の地獄のために、今日はもう寝ることにします。

映画としての、エンターテインメント作品としての良し悪しの判断は私には難しいものですが、多少の加筆はあれ小説に寄り添った作品であり、その魅力を十分に引き出したものであると感じました。太宰の作品に、一粒の魅力を感じたことがあるのであれば、映画館へ行くことをおすすめします。

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